メルマガ「日刊デジタルクリエーターズ」にて、コラムを執筆させて頂きました。今回のテーマはブログでも連載している「SSD+HDDのデュアルストレージ環境構築」をテーマに再構成してまとめてみました。
詳細は以下に。
■?×?×CrossOver Talk[17]MacBook PRO(Early 2008)に新しい息吹を──MacBook ProにSSD+HDDの最強環境を構築/杏珠
デジクリ読者の皆さん、こんにちは。studio H.M代表のディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)です。皆様、いかがお過ごしですか?
今月のテーマは予告通り、MacBook Pro(Early 2008)でも新MacBook Airのフラッシュストレージの快適システムを構築するため、スーパードライブを取り外し、SSDとHDDの2つのストレージを組み込む改造のお話です。改造するにあたっての、SSDとHDDのデュアルストレージにすることのメリット、デメリットや、導入するにあたっての注意点などを書いてみます。
うわさでは、今度発表される新しいMacBook Proはスーパードライブの代わりにフラッシュメモリ搭載モデルになるということも言われています。もし、所有しているMacのパワーアップをする方法を探している方、もしくはMacを新規購入する際、SSDモデルにする選択肢も考えている方にとって参考となればうれしい限りです。
SSDとは何か? そのメリット&デメリット
今回のテーマの主役となるSSDですが、私もいまいち理解していないところもあったので調べてみました。カンタンに言うとSSDは、HDDと同じようにデータの記録ができる記憶装置です。HDDと違うところは、HDDがディスクを使っている代わりにSSDはフラッシュメモリを使っているという点です。それを踏まえて、SSDのメリットとデメリットを比べてみましょう。
SSDのメリットとして、以下の3つがあげられます。
- HDDより読み書きが速いので、システムやアプリケーションケーションの起動、データの保存や読み込みが速い。
- HDDのようなモーター駆動の構造ではないため、機械的に電力を使わなくてもいいので、HDDより省電力で済む。
- 機械的に駆動する部品がないため衝撃にも強い。
SSDのデメリットは、HDDに比べて容量と価格を比較すると割高であることです。
上記のSSDのメリットを生かし、デメリットをうまく解消できないかと考えた結果が、起動が速いSSDと、SSDより安価で容量を多く使えるHDDを組み合わせるという方法でした。これなら、使用するアプリケーションや最低限必要なシステム書類をSSDで管理して、普段使わない過去に作成したデータや、素材集や写真、音楽データなどをHDDに置いておけば、体感速度アップ+大容量保存のいいとこ取りのシステムができあがります。
SSD+HDDのデュアルストレージにするメリット&デメリット
実際に二つのストレージを搭載する方法は、もともとあったスーパードライブを取り外し、そのスペースにHDDを移動、空いたHDDのスペースにSSDを組み込むという改造になります。それを踏まえてのSSD+HDDのデュアルストレージにするメリット、デメリットを上げてみます。
メリット:
いままで起動システムとして構築していたHDDを、バックアップ用のディスクとしても使える。SSDにもOSを新たにインストールするので、SSDからでも、今まで使っていたHDDからでもどちらからでも起動することが可能になります。万が一、SSDに問題が出たとしても、HDD側でシステムを起動して作業することも可能です。
デメリット:
スーパードライブを外すことになるので、CDやDVDで供給されているアプリケーションをインストールするのときや、データをDVDなどの空きメディアに保存したいときに、外付けのスーパードライブが必要になってきます。
今回購入した、スーパードライブの場所にHDDを換装するキットには、内蔵のスーパードライブを外付けスーパードライブにするキットが同梱されていますので、外したスーパードライブは外付けとして使えます。これなら、必要なときに接続して使えば問題ありません。
そして、最近販売されているアプリケーションケーションは、ネット経由でダウンロードしてインストールする形式がほとんどなので、頻繁にスーパードライブを使うこともほとんどないと思います(Mac App Storeなど)。
SSDの容量には注意が必要
メリット、デメリットをあげて検証し、SSD+HDDにするメリットの方が多いと説明してきましたが、最後に注意しておきたい問題があります。それが「SSDの容量」です。今回購入したSSDは、予算の関係上128GBにしました。予算の都合がつくのなら、256GBなど容量の多いクラスのものにするのをオススメします。なぜそんなことをいうのか? それは。SSDに必要なデータをピックアップしてみれば注意点が見えてきます。
- 起動に必要なOSのデータ
- アプリケーション
- 使用するフォント
- 繰り返し使うDropboxなどの共有データ
事務所で使っているMacBook Pro(Early 2008)で、上記のデータをすべて合わせると約90GBを使用することになります。特に直下の作業中データは含まれていないので、もし容量が大きいものを扱っている場合、そのデータによってあまりにも空き容量が少ないとなると、システム的に不安定になることがあります。では、どうやって解決したらいいのでしょうか?
エイリアスとシンボリックリンクの活用
SSD容量の不足対策として、作成したデータなどを保存するときに、保存先をSSDではなく、HDD内の該当するフォルダのエイリアスをつくってSSDにコピーしておきます。保存するときにそのエイリアスを指定すれば、SSDにデータが保存されずにHDDに保存ができるようになります。
ローカルPC内での保存はエイリアスで解決できるのですが、問題はDropBox上のデータです。DropBoxにて複数のMacとデータが同期している場合、HDD上に作ったエイリアスをDropBoxに置いても、エイリアス内のデータは、他のMacと同期はされません。しかし、エイリアスではなく「シンボリックリンク」としてフォルダを作成したものをDropBoxに置けば、フォルダ内のデータはすべて同期されます。
ただし、他の共有しているマシンによっては普段は同期したくないけど、いざというときに必要といったケースの場合もあると思います。その場合は、共有したくないMac上で、DropBoxの設定画面から共有したくないフォルダのチェックを外すことで、データの同期をしなくすることも可能です。シンボリックリンクを簡単に作成したいときには「SymbolicLinker」というフリーウエアのアプリケーションがありますので、そちらを使用してみてください。
SymbolicLinker
ダウンロードはこちらから
いかがでしたか? 今回の改造によって、事務所のMacBook Pro(Early 2008)の通常の起動時間に90秒かかっていたのが30秒に、IllustratorCS5の起動時間は10秒程度になりました。データの保存時間も短縮されますし、実質の作業時間以外で時間短縮できるメリットは計り知れないものがあります。さらに、何かあったときに、どちらのドライブからでも起動できるリスクヘッジ対策にもなります。
ただし、このような改造はメーカーの保証外のことですし、お金のかかることなので、万人向けの方法ではありません。ですが、今回紹介したHDD+SSDの環境構築の改造だけでなく、新しくMacを購入するときに「外付けHDD+SSD」といった組み合わせでも、HDD+SSDのデュアルストレージの恩恵を十分受けることができると思います。今後のことを踏まえて、SSDを導入するメリットも考えてみてはいかがでしょうか。
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