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【コラム】紙の本と電子書籍とのつきあい方

先日、「eBookジャーナル」というムックに、読者寄稿文として投稿した記事が掲載されました。私自身がどうやって紙の本と電子書籍と付き合っているかをコラムとして書いたものです。紙の本、電子書籍の使い分けのひとつの方法として、お役に立てればと思います。

eBookジャーナル vol.2 (2011)―電子出版ビジネスを成功に導く総合誌 (マイコミムック) (MYCOMムック)

詳細は以下に

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シチュエーションごとにデジタルとアナログの棲み分けをする

私はエディトリアルデザインをメインに仕事をしている関係上、電子書籍と紙の本の違いや、電子書籍のメリットをよく聞かれます。その答えとして「デジタルデバイスで長文を読むことができるなら、シチュエーションごとにデジタルとアナログの棲み分けをしてみては?」と答えるようにしています。PCモニタやiPhoneなどで長文をよむのが難しい人には、いくらメリットがあっても苦痛なだけなので。

仕事柄、私は書籍から雑誌まで様々な本を大量に読んでいます。読んでいる本もジャンルもばらばらで、デザインの資料としてももちろん、普通の読書としても本を読むので、普通に読んでいたら読み切れないこともあります。この多くの本を読むには、「どんなシチュエーションでも読める状態にしておく」のが大事になってきます。本以外では、情報収集のためにWebサイトやニュースサイト、ブログからの情報も毎日読んでいて、アナログとデジタルの両方から情報を入手しています。

デジタル、アナログのどちらの本を読むにしても、装丁、本文組、紙面レイアウトなど、デザインに関わることは重要なことだと思っています。しかし、情報が新鮮な方が有益なのあれば、できるだけ早く読みたいというときもあります。そんな場合は、欲しいときにすぐ手に入るデジタルの方が圧倒的に有利です。そうなると情報によっては「Webサイト、ブログなどから取得する方法でもいいんじゃないか?」と思われますが、情報が整理されていない、一貫性がない、欲しい情報を収集する時間がとてもかかってしまうことなど、問題点が色々出てきます。では、どうすればいいのか? 答えは「関連した情報が一つにまとまって、すべての情報に著者や関係者、編集者などの目が入っているもの」を選ぶことです。すなわち、欲しい一連の情報の流れを把握できるもの(情報がパッケージ化されている)であれば、デジタルでもアナログでもどっちでもいいということになります。そうなると、デジタルとアナログの利点を最大限に利用すれば、十分にデジタルとアナログの棲み分けは可能だと思います。

デジタルとアナログのそれぞれの利点

デジタルとアナログのそれぞれの利点をピックアップして行きましょう。紙の本(アナログ)の利点は以下のようなところです。

  • 文字が読める程度の明るいところであれば、いつでも読むことができる ・付箋を貼る、本に直接文字や線を書くことができる

逆にデジタル本の利点とは以下のようなところです。

  • バックライトがついているデバイスなら、暗いところでも読むことが可能 ・デジタルデータになっているので、物理的に場所をとらない ・注釈、図版、言葉の意味を調べるなどに対して、関連サイトや連携アプリケーションでサポートされている

デジタルデータは持ち運べるデバイスがないと「どんなシチュエーションでも読める」ということにはなりません。私はiPhone、iPad、MacBook Airを所有しているので、家でも事務所でも出先でも、どこでも見ることができます。バッテリー切れなどでデジタルデバイスを使って本が閲覧できなくなるリスクヘッジとして、紙の本も常に持ち歩いています。なので、デジタルとアナログの両方を持っていることで、常にどこでも本を読む状態の棲み分けが可能になりました。

本を購入するときの基準

そして本を購入するときの基準をお話しします。基本はアナログ(紙の本)を買うことを前提で話を進めます。

  1. デジタル、アナログ問わず、読みたいと思う本はチェックしておく
  2. 気になる紙の本の数ページ(目次や本文)をamazonや出版社などでお試しで見ることができるか? を確認する。もしデジタル版の本が出ないのであれば、ここで紙の本を購入する
  3. デジタル版で本が出る場合、期間限定での無料配布、もしくは割引価格で購入できるのか? を確認。該当すればデジタル版の本を購入。

という流れですね。

デジタルの本でオススメなのは「技術解説書」です。ページごと、もしくは見開きごとで完結する解説書であれば、iPadなどを小脇に設置して、教科書のような使い方をすれば、勉強がどこまで進んだかもすぐ分かるし、続きからすぐ始められますので。

それ以外にデジタル本を読むときに考えておきたいのが、所有しているデバイスごとにデータを購入やダウンロードをしておくことです。

  • iPhoneやiPadなどのアプリ形式
  • 電子書籍フォーマット形式
  • 紙の本をスキャンしたデータ
  • レイアウトや色使いなどのデザインネタ要素

サーバに相当するPCや、DropBoxなどのクラウドストレージにアップしておいていつでも見られるようにしておけば、読む本がないということはなくなります。

まとめ

いかがですか? 欲しいと思っている本や、所有しているアナログ、デジタルの本を確認して、所有しているデバイスで見られるようにしてみませんか? 常に情報をインプットできる快感を感じることができると思いますよ。

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Design × Lifehack × CrossOver Lab – 【電子書籍】電子出版関連総合情報誌「eBookジャーナル Vol.2」が発売されています。




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1972年生まれ。東京都八王子出身・中野区在住。デジタル機器やデジタルサービスを駆使して、いつでもどこでも人生を謳歌する「デジタル寅さん」として活動中。デジタルの楽しさを知ってもらうためのデジタルサポートを行っています。 その他にはグラフィックデザイナー、料理や食を通じてコミュニケーションを楽しむ研究をしている「食と心の研究家」としても活動。料理コミュニティ「キッチン男子部」の顧問も。